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  2011/6/1    No.585   週刊メールジャーナル   読者数10585(前回)
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◆東日本大震災によリ罹災された皆さまに対し心からお見舞い申し上げます。
また、ご家族、職場、地域で、お身内、お知り合いを亡くされた皆さまに衷心
よりお悔やみを申し上げます。



●「復興構想会議」で予想される“愚”にもつかぬ提言に何の意味があるか!
(会員制経済情報誌『現代産業情報』5月15日号より転載)

会議は踊る――。

大震災後、政府内には20近くも対策会議が乱立、高級官僚は出席に追われ、
関係省庁の現場は資料つくりを急がされ、混乱の極みにある。

だが、会議に取られる時間ほど、ムダなものはない。議論が議論を呼び、結論
が対立すればその調整も必要で、まとめあげたという満足感が実行を阻む。

がれきや遺体の処理のためにまず必要な特例法案は、一本も成立していない。

会議の乱立は、トップダウンを嫌い、十分に話し合ったことを立証したい市民
運動家・菅直人の限界である。

その実、菅首相が浜岡原発の停止要請に見られるように、風を読んでトップダ
ウンを仕掛ける「庶民利用の独裁政治家」であることは、別項で記したのでこ
こではふれない。

言いたいことはただ一点。いろんな会議の中でも、菅首相が鳴り物入りでスタ
ートさせた「復興構想会議」が、結局は菅首相の“好み”にあった「提言」を
まとめあげ、“独裁”に利用されることである。

それは、メンバーを見れば明らかだ。

議長は、防衛大学校長の五百旗頭真氏。その肩書きに騙されるが、決して国家
護持のタカ派ではない。

むしろ侵略戦争を認め、中国や韓国に対して強気で押すことのない穏健派。原
点が市民運動の菅首相と、同じ感性の持ち主である。

議長代理が「自称天才建築家」の安藤忠雄氏と東大教授の御厨貴氏。会議の看
板が五百旗頭氏で、復興構想の“添え物”が安藤氏だとすれば、事実上、会議
を動かすことになるのは、もう一人の議長代理で政治学者の御厨貴氏である。

TBS日曜朝の看板番組「時事放談」で、中曽根康弘、野中広務、渡部恒三、
藤井裕久、塩川正十郎などの元気な“老人”を相手に、小沢一郎批判を続けた
御厨氏だが、司会者ならともかく政治学者の立場で、ご意見拝聴のその姿勢に
ついて、弊誌はNo.648 の「東大教授の看板でテレビ司会者として時流に乗る
御厨貴氏の罪」で批判した。(本誌平成22年7月7日号にて転載)

政治を学問するということは、政治家に対する厳しい批判眼を持っていなけれ
ばならない。

ところが、御厨氏にはそれが感じられない。数ある著作の中で印象に残るのは、
宮沢喜一元首相への膨大なインタビューをまとめた『宮沢喜一回顧録』、後藤
田正晴元副総理へのインタビューをまとめた『情と理』。印象に残る業績が司
会業の政治学者に、何の意味があるのだろうか。

『文藝春秋』(6月号)に、作家の半藤一利氏、ノンフィクション作家の保阪
正康氏とともに登場、「関東大震災と東日本大震災」のタイトルで対談を行っ
ているが、復興会議のまとめ役という立場を「ほら、御厨さんの任務は大きい
ですよ」と、半藤氏に挑発されているのに、どこか他人事だ。

「ポスト小泉以来、内閣が消耗品化し、今もっとも大切な東北地方の復興でも、
『現政権はいつまでもつのか』と誰もが疑問に思っているために、政権が変わ
れば復興策もまた変わるだろうと疑心暗鬼になってしまう。ひじょうに刹那的
なんです」

恒久の復興策を、自分たちで作るんだという意欲はまるで感じられない。

他のメンバーも同じようなもの。

顧問の梅原猛氏に、哲学者としての力量はうかがえない。東北関係者の中で村
井嘉浩(宮城)、達増拓也(岩手)、佐藤雄平(福島)の三知事が委員に入っ
ているのは当然として、相撲オタクで出たがりやの内館牧子(脚本家)、芥川
賞作家の玄侑宗久(住職)、原発推進の渡辺恒雄氏の側近で知られる橋本五郎
(読売新聞特別編集委員)、仙台大学教授の高成田(前朝日新聞石巻支局長)
といったメンバーに、元官僚などの実務派はいない。

官僚嫌いの菅首相が人選を進めたのでこうなったが、まるで素人の集まり。し
かもまとめ役の御厨氏が調整しかしない人なので、議論が百出してまともな提
言は出ず、最初の復興会議で早くも「財源は復興税」という菅首相好みの財務
省寄りの意見が飛び出したように、良くてガス抜き、悪ければ財務省とだけは
結託する菅首相の“裾払い”をする会議となる。

今から“愚”にもつかない提言と予想されるだけに、ゆめゆめ期待しない方が
いい。



●「陸山会公判」で判明した検察の変化と小沢元民主党代表の不運
(会員制経済情報誌『現代産業情報』5月15日号より転載)

――06年7月に水谷功(水谷建設元社長)氏が脱税逮捕された時、大久保
(隆規秘書)氏と話はしたか。

公判検事にこう聞かれて、日本発破技研の山本潤社長は、次のように答えた。

「大久保さんから携帯に電話がありました。『水谷建設がたいへんなことにな
りましたね』と、取り込んだ様子で話された後、『水谷建設から頂戴したカネ
は、山本さんに返したことにしたいと思うのですが、どうですか』と、続けら
れた」

5月10日、東京地裁104号法廷で開かれた「陸山会」の政治資金規正法違
反事件の公判で、証人となった山本潤氏の口から衝撃的な言葉が飛び出したの
は、検察側尋問の最後の頃だった。

傍聴人の間からため息がもれた。

というのも、05年4月19日、東京の全日空ホテル(現ANAインターコン
チネンタル)で、水谷建設の川村尚前社長が、紙袋に入れた5000万円を、
大久保秘書に渡すところを現認したために、山本氏は法廷に検察側証人として
呼ばれたのだが、袋の中身がカネかどうかはあいまいだった。

川村氏の口から「謝礼」という言葉は出ず、カネかどうかの確認を山本氏が取
ったわけでもない。「ダム工事の(受注の)お礼の現金が入っているのだろう
と思った」という山本氏の“推測”があるばかりだ。

唯一、帰りの新幹線の中で、川村氏は山本氏に、紙袋の中身について「税金み
たいなものだ」という言葉を残したというが、カネかどうかは言及していない
し、金額を言ったわけでもない。

それだけに、川村氏と大久保氏との金銭授受(全日空ホテルのほかに選挙の際、
「陣中見舞い」を届けることもあった)の場に、川村氏を大久保氏に紹介した
こともあって、常に同席していた山本氏に対し、「口裏合わせ」を求めたとい
う大久保氏の電話の存在は、4月27日の公判で、「4月中旬頃、大久保さん
に5000万円を渡しました」という川村証言と合わせ、「受注の謝礼の50
00万円」という証言の真実性を高めた。

山本氏は検察の“隠し玉”だった。

「善意の第三者」が、裏ガネ提供の事実を述べるだけでも大きいが、弊誌が
No.660 の「小沢秘書公判の行方と現金授受の現場にいたキーマンの“素性”」
(本誌1月19日号にて転載)で述べたように、山本氏は2代目社長でJC
(日本青年会議所)の会頭を務めたこともあり、その縁で山本氏と大久保氏は、
大久保氏が小沢氏の秘書になる前からの知り合いだった。

落ち着いた山本氏の語り口もさることながら、今回、証拠改ざんの大阪地検事
件以降の「検察の変化」を感じさせたのは、無理な供述をさせないことだった。

それは、前回の川村証言も同じで、現金を渡した日が「4月中旬ごろ」と曖昧
で、「5000万円もの大金を渡した日時を忘れるのか」と、弁護側に突っ込
まれる原因をつくってしまうのだが、本人の記憶に任せている。

完璧な調書を揃えようとして無理な捜査につながった事件の反省を踏まえてい
る。

一方で、政治資金規正法違反事件とは無関係に繰り返される「裏ガネ」の有無
については、大久保、石川和裕の両秘書が全否定しようと、傍聴すれば、授受
はあったと思わせる内容になっている。

それは、小沢一郎民主党元代表にとって不運である。

4月10日と24日の統一地方選の大惨敗を受けて、音無しの構えだった小沢
氏が動き始めた。

何度も私邸に親密な議員を集め、「このままではいけない。体制を変えねばな
らない」と、倒閣を宣言している。

5月6日には、「政府の対応がこれではいけない。これから批判すべきはする」
と、発言はますます“前のめり”となった。

だが、そのたびに冷水を浴びせかけるように、「1億円(5000万円を2回)
の裏ガネ証言」が飛び出し、小沢氏自身が刑事被告人であることが思い起こさ
れる。

その不運は自ら招いたものとはいえ、活動の節目節目に捜査や事件や法廷証言
が重なるところが、小沢氏の巡り合せの悪さなのだ。


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 週刊メールジャーナル 2011年6月1日  第585号(水曜日発行)
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