■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 2011/6/22 No.588 週刊メールジャーナル 読者数10555(前回) ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ◆東日本大震災によリ罹災された皆さまに対し心からお見舞い申し上げます。 また、ご家族、職場、地域で、お身内、お知り合いを亡くされた皆さまに衷心 よりお悔やみを申し上げます。 ●廃炉ビジネスを米仏に提供した日本政府の弱みとは何か (会員制経済情報誌『現代産業情報』6月15日号より転載) 福島原発事故における政府のうろたえぶりと不手際に、国民は呆れている。 東電と原子力安全・保安院と原子力安全委員会のそれぞれが記者会見、意思統 一が取れていない様子が如実に表れて、国民を不安にした。 なにより、リーダーに相応しくないことを内外に知らしめたのが菅直人首相で、 現場に権限を委ねて最終判断だけ下し、国民には「安心」をメッセージするの が首相の役割であるはずなのに、自ら電源確保、ベントの指示にと動き回り、 官僚や東電幹部を怒鳴りつけるイラ菅ぶりが報じられて、国民は不安を通り越 して情けない思いをした。 日本国民ですら、そうである。海外は、日本の危機管理能力のなさに呆れ、原 発事故処理の不手際を見ていられなかった。 中でも国策として原発を推進する仏と、原子力発電に再度、力を入れようと方 向転換した米は、揺れ動き、取り乱した菅政権に、積極的に注文をつけた。 事故直後、仏は「何でも協力します」とメッセージを送るとともに、3月30 日、世界最大の原子力メーカー、アレバのアンヌ・ロベルジョン最高経営責任 者(CEO)が、専門技術者を引き連れて来日、「防護服1万着」や「放射線 濃度の高い場所で作業できるロボット」を提供、廃炉を含む事故処理ビジネス を提案した。翌日にはサルコジ大統領も来日、アレバをプッシュした。 単なる「売込み」ではない。「フクシマ」がドイツを「脱原発」に踏みきらせ たように、アレバにとって福島原発の事故が長引き、世界に「原発の危機」を アピールすることは、死活問題である。 再処理工場を持ち、高濃度の汚染処理に精通したアレバは、日本のモタモタぶ りを見ていられなかった。 米もそうである。3月21日、日本での米軍の司令官が、フィールド空軍中将 からウォルシュ太平洋艦隊司令長官に代わった。米軍は「有事体制」に入った わけで、「トモダチ作戦」はその一環だった。 4月2日には、生物兵器や核・放射性物質に対する特殊部隊の「化学・生物兵 器事態対応部隊(CBIRF)」を日本に送り込んでいる。 そのうえで、廃炉ビジネスに一日の長があることを自負するゼネラル・エレク トリック(GE)など原子力関連企業は、廃炉を柱にした事故処理システムを 日本に提案している。 東芝は子会社のウェスチングハウス(WH)と共同提案、GEは合弁企業を持 つ日立製作所との共同提案だが、主導権を握るのは米企業で、それぞれのグル ープにエクセレン、ベクテル、パブコック・アンド・ウィルコックス、ショー グループなど米を代表する企業が入っている。 4月17日にクリントン国務長官が来日、日本政府に行なったのは、米企業が 事故処理ビジネスを担えるようにという国家的要請で、菅政権に断る選択肢な どない。 というより、「レベル7の恐怖」を世界に与えた日本は、原子力産業を抱える 米仏への“おわび”として、廃炉ビジネス、事故処理ビジネスに門戸を開かざ るを得ない。 当然、請求書は高くなる。それは、汚染水処理に証明されている。 年内に25万トンを超す汚染水処理は、アレバに特命発注された。これは汚染 水と油をまず分離、次にセシュームを吸着させ、放射性物質を沈殿、最後に上 澄み淡水化を図るというもの。 これで放射能濃度は、1000から1万分の1にまで薄まるという。 「1トンにつき2億円かかるというが、実際にはいくらか」 こんな国会質問が飛び出し、「汚染水処理に40兆円」と報じる雑誌があり、 一時は騒然となったが、東電は打ち消すように「プラント価格は531億円」 と発表した。 だが、これは装置価格で、上澄みを採取した後の高度に汚染された「核のドロ」 は別価格。 これは未契約であるとして公表されていないが、こうした汚染物質をガラス固 化して処理する技術を持つのはアレバしかなく、「トン当たり2億円」という のはこちらの話で、数千億円の請求書が、将来、アレバから届くと目されてい る。 米企業も負けていない。汚染水処理にはアレバだけでなく、米原子力大手のキ ュリオンも関わっており、鉱石のゼオライトを投入、セシュームを付着させる 工程を受け持つ。 このゼオライトは、日本にもふんだんにある鉱石で、ペットの消臭剤などにも 使用されているが、キュリオンは「特殊なゼオライト」として米から持ち込ん でおり、その分、価格は跳ね上がっている。 こうした米仏企業への配慮が、菅直人という「取り乱す政治家」の個性を一因 とするなら、ここにも有事を仕切れない首相を持った国民の不幸がある。 ◆会員制(法人・個人)経済情報誌『現代産業情報』の購読は、本誌がお取次 ぎします。お申し出いただけば、無料で見本誌をお送りいたします。 ■非常時の社内広報(その3) (ナナ総合コミュニケーション研究所ポータルサイト「コミサポネット」 のコラム「社内広報を考える」6月22日更新より転載) ⇒http://www.commu-suppo.net どうやら、影響の深さも広がりも“想定外”のようである。 言うまでもなく、3.11震災と原発事故の影響のことだが、一見、間接的な影響 が軽微に見える、普通の会社に及ぼしている影響も意外と深刻なようすがうか がえるのだ。 私は、自力では生き残ることができるかどうかわからない、深刻な事態を迎え るかもしれないという会社のために、この「非常時の社内広報」を書き、前回、 その補足をしたので、それでけじめをつけたつもりだった。 大手調査会社の予測では、この震災と原発事故の間接的な影響も含めて、経営 破綻にいたる会社(法人)は、発災1年間で400社程度とされているので、 最悪の事態を想定して社内コミュニケーションシステムの再構築を考える会社 がそんなに多いとは、考えられなかったのである。 ところが、現にアドバイスを求めてきているいくつかの会社は、この際「事業 継続計画」(BCP)を見直す一環として、「非常時の社内広報マニュアル」 を作成したいと言うのだ。 つまり、この震災と原発事故は、前回、前々回で触れたように、国の政策決定 のあり方、会社の社会的な存在価値、人々の生き方や目標にまで、影響を及ぼ しているとみられるのである。 それゆえ、私の専門分野である「社内コミュニケーションマネジメント」(I CM)についても、見直しが必要と考える経営が増加しているであろうことも うなずける。 たしかに、中小企業庁が中心となって策定したBCPのモデルには、従業員対 策として、緊急避難先の予備登録、通信連絡網の構築など、こと細かな計画を 策定するように定めてはいるものの、「社内広報」についてのモデルは記載さ れていない。 なぜ、「社内広報」というマネジメントのくくりでBCPモデルが策定されて いないのであろうか、私はかねてから不思議に思っていたのである。 それはおそらく、非常時における、従業員との情報の共有、そのための社内メ ディアの活用、役割分担、意識と行動の統制といったガバナンスは、ICM次 第で達成できるという認識が、BCPモデル策定のプロジェクトに欠落してい たのであろうと推測される。 要するに、ICMは、会社経営にとって不可欠なトップマネジメントの要諦で あるという認識がなかったのであろう。 ともあれ、非常時の社内広報マニュアルを作成したいというオーダーには、何 とか知恵を絞りたいと思う。 だがこれには、平常時の社内広報システムがきちんと機能していることが、基 本要件になる。 つまり、ICMをシステム化して日頃から社内広報がうまく働いていれば、非 常時には、その延長線上で、臨機応変に運用できると私は考えているのである。 したがって、非常時の社内広報マニュアルで策定しなければならないことは、 例えば、従業員全員との、非常事態の即時情報共有のシステム、社内メディア の代替システム、個々人との通信連絡システムなどを、決めておけばことは足 りると思うがどうだろう。 いままで多くの経営のICMをチェックをさせていただいた経験からいえば、 ICMが十分に機能している会社はいまだ少ないのが現状であり、その部分は、 引き続きアドバイスをさせていただきたいと思う。 だが、非常時の社内広報マニュアルを新たに作成する必要性は果たしてあるの だろうか、知恵は絞りたいが、あまり賛成はできない。 実は、BCPもそうなのだが、マニュアルで従業員の行動を、微に入り細に入 り、一挙手一投足をこと細かに策定しても、いざという時、決められたとおり に機能するとは、まったく考えられないからだ。 むしろ、臨機応変に、全従業員の英知を集めるほうが、経営にとっては有効に 機能するのではないかと、思われるのである。 現に、福島原発では、事故が起きた場合に中央省庁と自治体、電力会社が現地 で対応を調整する制度を定めた、政府の「原子力災害マニュアル」がまったく 機能しなかったことが明らかになった。(『朝日新聞』6月9日付朝刊) しかもこのマニュアルは、数次にわたって改定を重ね、そのうえ、模擬訓練を 何度も実施してきたにもかかわらず、地震と津波の被害が同時多発する想定外 の「複合災害」によって、初動段階からまったく役に立たなかった、というの である。 そもそも、会社が存立の危機に見舞われる事態は、本来的に“想定外”のはず である。それを“予期”した「非常時広報マニュアル」など、私には到底考え が及ばないのである。 経営の非常事態に際しては、財務経理はもちろん、広報や人事労務など、臨時 の役割分担も含めて、役員はもちろん、全従業員が臨機応変に創意工夫をしあ うことが、何よりも大切であり、効果が大きいのではなかろうか。 偶然かもしれないが、同日付の『朝日新聞』は、北海道占冠村のJR石勝線で 起きた特急脱線炎上事故で、炎が上っているのを客室乗務員(車内販売や案内 業務の契約社員)が目撃しているのに、車掌に伝えていなかったことがJR北 海道の調べでわかった、と伝えている。 この記事では、「JRは車掌と運転士を乗務員と定義しており、乗務員に義務 付けている非常時の対応が、客室乗務員のマニュアルでは明確ではなく、この ため、JR広報は『乗務員は炎を見ておらず、火災と認識していなかった』と 説明してきた」としているのだが、私には、JR広報の単なる言い訳に過ぎな いように読めたのだ。 「マニュアルで定めていればできるけど、定めていないから、しなくてもいい」 というような判断をする従業員が会社の中に存在してもいいのだろうか。 JRは(これを契機に)「非常時のマニュアルを整える」としているようだが、 「整えたらできる」というものではなかろう。 国と東電が陥ったような「マニュアル万能主義」は、一時、伸び盛りだった全 国展開のファストフードチェーンにも見られたが、私がかかわった会社では、 むしろ、想定外の顧客とのトラブルをフロアマネジメントの教訓とするように 改めた。「マニュアル化」が必ずしも適切とはいえないからだ。 おそらく日ごろから、JRの販売員は「勤務中は乗務員と余計な会話はしない」 というようなマニュアルの遵守を指導されていたために、臨機応変の対応を躊 躇したのではなかろうかと推測する。 実は、かつて私はJR北海道の社内報を審査したことがあるのだが、当時は、 「まだまだ普通の民間会社になりきっていないなあ」という印象を持ったこと を、いまらのように思い起こす。 ともかく、会社が生きるか死ぬかという瀬戸際の、「非常時の社内広報」はき わめて重要だが、「広報マニュアル」を整えれば足りる、という考えには賛同 しかねる。 【お知らせ】 ■ 「第10回全国社内誌企画コンペティション」企画の募集中です!■ ■ 締め切りを延期しました! ■ 今年も「第10回全国社内誌企画コンペティション」を行います。 現在、企画を募集中です。2010年に発行された社内誌、Web社内報、 周年誌、記念誌、社外広報誌、PR誌の、あなたの熱い思い入れの ある「イチオシ企画」をぜひご応募ください。 この度の東北地方太平洋沖地震の状況をうけまして、締め切りを 延期しました! ご応募お待ちしています。 【応募締切:6月13日(月)】 お問い合わせ先・詳細は下記 ⇒http://www.commu-suppo.net ************************ 株式会社ナナ・コーポレート・コミュニケーション ナナ総合コミュニケーション研究所 富加見(ふかみ) 智子 電話:03-5312-7471 FAX:03-5312-7475 E-mail:fukami@nana-cc.com ************************ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 週刊メールジャーナル 2011年6月22日 第588号(水曜日発行) ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 編集発行人:川崎 明 / 発行所:メールジャーナル社 〒130-0026 東京都墨田区両国2-1-4 第2西村ビル201 ホームhttp://www.mail-journal.com/ メールadmin@mail-journal.com 転載・再配布等には事前にメールジャーナル社に許可をお取り下さい。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ |