■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 2011/12/7 No.612 週刊メールジャーナル 読者数10413(前回) ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ◆東日本大震災によリ罹災された皆さまに対し心からお見舞い申し上げます。 また、ご家族、職場、地域で、お身内、お知り合いを亡くされた皆さまに衷心 よりお悔やみを申し上げます。 ●週刊誌のバッシングを楽々クリアした『橋下大阪市長』はこれからが正念場! (会員制経済情報誌『現代産業情報』12月1日号より転載) 顰蹙を買うのが週刊誌である。 行儀のいいマスコミには書けないことを書く、ゲリラジャーナリズムを読者は 期待、それに応えて『週刊新潮』は創刊以来、50年以上の歴史を刻んできた。 注目の大阪市長選で当選した橋下徹氏に対する『週刊新潮』と『週刊文春』の バッシングは、在阪のマスコミが大阪で圧倒的人気の橋下氏をタブー視する中 での批判記事だっただけに、週刊誌らしさの証明ではあった。 だが、いかんせん読後感が悪すぎる。 「『同和』『暴力団』の渦に呑まれた橋下知事出生の秘密。オヤジはヤクザで 同和に誇り 叔父が『新潮45』に語った! 12年前従兄弟が逮捕された凄 惨な金属バット殺人」 これが問題の『週刊新潮』(11月3日号)の見出しである。 中吊り広告では、右半分を使って大々的に宣伝、記事を読まなくても中身は想 像できた。 橋下氏は、当然。激しく怒った。 なぜこの時期に、自分と関係のない人格の父や叔父や従兄弟の凄惨な生き方や、 出生の秘密を暴露するのか――。 それに対して、週刊誌サイドからは「親兄弟の話題を提供するのもマスコミの 役割」という建前と、「橋下氏に関する記事は売れるから」という本音の両方 が伝えられたが、読者と大阪府民を“不快”にさせたという意味では失敗であ る。 現に、「橋下大勝」の理由の何割かは、東京発の嫌らしいバッシングに対する、 大阪人らしい反発から来ている。 ざらついた感触を残した新潮と文春の橋下バッシング報道は、「あれではネッ トの2チャンネルに負けてしまう」という週刊誌ジャーナリズムの行く末の厳 しさを露呈してしまったが、 それはさておき、橋下氏の橋下氏らしい反発を引き起こしたことで、この機を 見るに敏、上昇気流に乗った政治家の限界を見せ付ける効果があった。 反撃をツイッターで開始した橋下氏は、取材記者の実名をあげたうえで、こう “密告”をつのった。 「バカ文春やバカ新潮も自分たちもチェックを受ける権力者だということを自 覚しろ。(中略)このバカ文春やバカ新潮の社員の行状について、ツイッター で情報収集したいと思います」 これが、敵を作り出しては、民意を引き連れて、徹底的に戦う橋下主義である。 「ハシズム」と呼ばれるこの行為は、独裁につながる危険性を秘め、同時に、 橋下氏が図らずも明らかになった出自を功利的に利用する懸念も生まれている。 「同和出身の政治家」として著名なのは、野中広務氏であった。 ジャーナリストの魚住昭氏によって暴露されたが、同和関係者が頼りにする 「ドン」であることは、誰でも知っていたし、野中氏はそのタブーを利用、利 権を握り、京都府議から自民党最大級の大物政治家に登り詰めていった。 野中氏にある暗さが橋下氏にはなく、同和利権に深く関与しているという様子 もない。 「時代が違う」といえばそれまでだが、橋下氏を圧倒的に支持する大阪の気質 は、政治上の権限と利権を、橋下氏に集中させかねない怖さがある。 大阪には権力者に媚びない、「商都大阪」の気質があり、それが逆に横山ノッ クを府知事にし、西川きよしなどの漫才師を政治家にし、チンピラの島田紳助 さえ国政に担ぎ出しかねない“軽み”につながった。 一方で、大阪は失業率が高く、生活保護受給者の数が多く、幸福度が全国都道 府県の最下位だという屈折した土地柄でもある。 橋下人気は、現段階ではまだ、そうした大阪の風土に守られてきたもので、全 国区の風は受けていない。 ツイッターでの過剰な反応も含め、冷静な国民にとっては「危険な政治家」で、 全国区となった時、橋下人気が続くかどうかはわからない。 そういう意味で、宮崎県知事としての人気に我を忘れ、慢心が顔に表れて不評 を買った、東国原英夫氏と同じ“境遇”にある。 今、各政党が、橋下人気の“おこぼれ”を頂戴しようと、露骨に擦り寄り、本 人は国政への参加を明言、「天下取り」のつもりだが、国民、わけても首都圏 の住民は、それほど甘くはない。 「橋下人気」は、大阪の地域限定では今がピーク。 それが全国区となるかどうかは、大阪都構想を含め、冷静にかじ取りできるか どうかであり、まさに「正念場」はこれからだ。 ◆会員制(法人・個人)経済情報誌『現代産業情報』の購読は、本紙がお取次 ぎします。お申し出いただけば、無料で見本誌を送りします。 ■TPP問題と保険業界の対応 (保険研究所『インシュアランス・生保版』12月1日号「主張」より転載) 本稿掲載のころには、「TPP問題」のマスコミ報道はかなり静かになってい るだろう。 主体が舞台裏のネゴ(事前協議)に移るからだ。このことは始めからわかって いるのに、あたかも、いますぐ関税撤廃になるかのような、反対派、慎重派の パフォーマンスに対するセンセーショナルな報道には、きわめて政治的な意図 が強かったといわれる。 そもそも、野田総理の外交上の政治決断によって、APECでの「参加方針」 表明は既定の路線であることは、マスコミは早くから熟知していたはずだ。 なぜなら、時間稼ぎの「慎重論」が国際外交でまかり通るはずはないし、「参 加見送り」の鎖国亡国論が世論の過半を占めるはずもなかったからだ。 要は、「戦後」体制としての、農林水畜産業政策の行き詰まりをどこまで改革 できるのか、「政権交代」後の政府と民主党のバラバラな状況に疑問と不安を 感じたメディアが、あえて世論を沸騰させたのだといわれる。 だが、わが国はいま、震災と原発災によって多くの国民が、生活上のリスクや 幸福の価値観を大きくと変えたことで、「戦後」から「震災後」へと、文明史 上きわめて稀なパラダイム転換期にあることを想起しなければならない。(本 誌8月11日号「主張」参照) 今後、TPP外交では、米国の一国救済的な経済戦略と真っ向から対峙する覚 悟が必要なことはいうまでもないが、いまや「脱原発」の国民世論は不可逆的 なほどの高まりを見せ、その延長線上には、対米依存の安全保障外交とエネル ギー政策の見直しが不可避であることの認識も求められている。 さらに、東北地方の復興を単純な災害復旧で済ませば、農林水畜産業がすぐに 立ち行かなくなることは明白であり、農地の集積をはじめとする効率経営を可 能にする、農地法など関連法規の抜本改正が必要なことはいうまでもない。 これらはすべて「震災後」の新しいパラダイム構築の助走に他ならず、保険行 政もまた、その埒外にはないといえよう。 TPPにおける「金融・保険・共済」協定の行方もさることながら、グローバ ルな「震災後」対応が必要になってきていることを忘れてはなるまい。 筆者の知人は、家族の都合で日米半々の生活を強いられているが、数年前、米 国で倒れて一時入院、帰国して脳の手術を受けた。いまは日米双方の複数の保 険に加入しているが、年金生活の身では負担が大きすぎるという。 他の知人は、定年後も大手精密機器メーカー系列の複数の部品供給会社の相談 役・顧問として欧米、アジアを一年中飛び回っている。彼の心配ごとは、いつ、 どこで倒れるかわからないことだという。 こうしたグローバリスト(地球市民)に対しては、グローバルな医療保証保険 が緊急不可欠である。いつ、どこで倒れても、均質な医療と費用補償が提供で きる国際的な保険協定が望まれている。(客員・川崎) ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 週刊メールジャーナル 2011年12月7日 第612号(水曜日発行) ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 編集発行人:川崎 明 / 発行所:メールジャーナル社 〒130-0026 東京都墨田区両国2-1-4 第2西村ビル201 ホームhttp://www.mail-journal.com/ メールadmin@mail-journal.com 転載・再配布等には事前にメールジャーナル社に許可をお取り下さい。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ |