■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 2011/12/14 No.613 週刊メールジャーナル 読者数10407(前回) ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ◆東日本大震災によリ罹災された皆さまに対し心からお見舞い申し上げます。 また、ご家族、職場、地域で、お身内、お知り合いを亡くされた皆さまに衷心 よりお悔やみを申し上げます。 ●暴排条例キャンペーンに使われた芸能界は警察の腰砕けで微動だにせず! (会員制経済情報誌『現代産業情報』12月1日号より転載) 「さんざん脅かして、大山鳴動して鼠一匹どころか、一匹も出ないじゃないか」 こんな“安堵”に包まれた不満を漏らすのは、演歌系歌手を抱える芸能プロダ クション代表である。 それほど暴力団排除条例キャンペーンの“威力”は凄まじかった。 島田紳助を引退に追い込んだのが、暴力団との関係遮断を迫る暴排条例である ことに気づいた時、芸能関係者は等しく暴力団との「密接交際者」と認定され、 名前を公表されることを恐れた。 興行を通じて親しいつきあいにならざるを得ない暴力団との交際は、紳助では ないが、「自分のなかではセーフ」という基準で判断していた。 それがほとんどの場合、「アウト」であるという判断基準を、紳助を例に与え られた時、芸能関係者は恐れおののいた。 引退に追い込まれてしかるべき交際の人間が少なくなかったからである。 警察庁は本気になった。 今年10月1日施行と、暴排条例の最後を飾った東京で、紳助並の著名タレン トか芸能プロの社長を、「摘発」ないし「公表」をしたら、インパクトのある 暴排条例キャンペーンとなるはずだった。 条例を担当する組織犯罪対策第三課には、「芸能特捜班」が置かれ、情報収集 が徹底して行なわれ、第一号へ向けた動きが活発化した。 当時の安藤隆春・警察庁長官は、「相撲界浄化の次は芸能界だ」と、現場に発 破をかけ、奮起を促した。 その時、マスコミの警察担当や芸能担当など取材記者の脳裏に浮かんだのは、 バーニング周防郁雄、ケイダッシュ川村龍夫、エーベックス松浦勝人など「芸 能プロの大物社長」である。 興行を通じたつきあいは不可分で、暴力団との関係が否応なく発生する。 当人たちが嫌っても、暴力団サイドが「芸能界の右代表」といえる彼らを手放 さない。 そんなしがらみを持つ彼らが、暴排条例の“餌食”になるのではないか――。 そう誰もが考えたし、弊誌でも施行日の10月1日発行のNo.677で、そうした 構造を断ち切るために40年以上も前に立ち上げた「社団法人日本音楽事業者協 会(音事協)」を使って、本気で暴力団と立ち向かうべきではないか、と論じ た。 だが、心配は“悪い意味”で杞憂に終わった。警察が腰砕け、やる気を失った のである。組対三課の捜査員が率直に漏らす。 「大手芸能プロには、かなりの数の“先輩”が天下っています。なかには警視 総監クラスも顧問に名を連ねる。 そんな人が出てくるかも知れない相手、しかも同僚後輩が世話になるかも知れ ない会社をターゲットにできますか」 それに、条例ゆえの制約もある。暴排条例は、まず暴力団との「密接交際者」 と「認定」し、次に「警告」を与え、従わなければ「公表」する段取りだ。 致命的な打撃を与えるのは、社会から抹殺されかねない「公表」だが、暴排条 例施行後、組対三課には芸能人からの相談が相次ぎ、みんな交際を告白したう えで「関係遮断」を誓うのだった。 これでは「公表」できない。 山口組系暴力団の東京芸能担当の有力組長など、愛人の芸能プロ会長が車を貸 し、企業舎弟と目される飲食店運営会社の店長が携帯電話の名義を貸していた のだが、警察の追及にあっさりと白旗を上げ、罪を認めるので「公表」に至る どころか「勧告」にも行き着かなかった。 結果、芸能界には“安堵”が広がり、稼ぎ時でイベントの多い12月を控えて、 早くも元の黙阿弥である。 「何の変化もありません。『芸能のドン』は力を低下させることもなく、今年 のレコード大賞でも受賞者を根回しで決めた。AKB48がそうです。NHKも紅白人 選に変化はなく、多少の“入れ替え”はあっても、暴力団との関係を認め、で も『今後は付き合いません。付き合いが判明したら出場を辞退します』と、暴 排条例にサインした大物たちが、変わらずに出場する」(芸能担当記者) 結局、みんながビジネスを優先、視聴率稼ぎに奔走、芸能界と暴力団との癒着 を断ち切る気などない。 芸能界は暴排条例のキャンペーンに使われただけで、紳助だけが貧乏くじを引 いたことになる。 ●「清武の乱」はマスコミが変われない「恥ずべき体質」をも抉り出している! (転載同前) 「溺れる犬は叩く」これほどマスコミの体質を鋭く言い当てた諺もないだろう。 落ち目になった者ほど容赦なく叩く。逆に言えば、まだ力のある権力者には手 ウを出さない。 マスコミはその権力者に「まだ力があるのか」、それとも「落ち目」に差し掛 かっているのか、その分岐点をじっと観察している。 そういう意味で言えば、まさに今、マスコミの観察を受けているのが、『読売 新聞』の渡辺恒雄会長であろう。 読売巨人軍の前球団代表、清武英利氏が11月11日、文部科学省において突然記 者会見を開き、渡辺氏が巨人軍のコーチ人事に不当に介入してコンプライアン スを蹂躙したと告発した当初は、 当の『読売新聞』を除いて「清武の乱」と騒いだマスコミだったが、清武氏に 続く告発者は現れず、“盟友”とみられた桃井恒和・球団代表からは「事実認 識が著しく不当な主張」と梯子をはずされ、 渡辺氏からの反撃談話を出されるに至っては、その論理的な反論に一定の説得 力が認められ、マスコミ各社は騒動の構図を現段階で「孤立する清武氏VS圧倒 的優位にある渡辺氏」ととらえて、報道は静観の構えになりつつある。 ジャーナリストが指摘する。 「清武氏の告発の勢いと、守る渡辺氏側の力関係が逆転していれば、マスコミ 報道はもっと洪水のごとく流され、渡辺氏は間違いなく潰されていたでしょう。 しかし現状では、清武氏の攻撃を『弱い』とみたマスコミ各社は、問題の本質 とは別に騒動としてだけ取り上げ、渡辺氏に対する攻撃的報道には踏み出そう としていない」 85歳の渡辺氏は、巨人軍での役職は無役の取締役とはいえ、球界の大御所であ り、秩序の中心である。 また古い政界秩序の主要メンバーの一人であり、新聞業界の重鎮である地位は 変わっていない。 ずいぶん落ちたとはいえ、巨人ブランドを使って収益に結び付けるビジネスモ デルを繰り広げてきたスポーツメディアにとっては、巨人軍と良好な関係を維 持していたいという計算が常にある。 権力者であるままの渡辺氏に弓を弾くことは、自爆以外の何者でもない。また、 一般紙にとっては業界からの締め出しという報復を受ける恐怖がある。 現状では、清武氏の反乱にのって渡辺氏に牙をむく選択肢はない。 だが、いわゆる「清武の乱」が提起した問題の本質の所在はすべてのメディア が理解している。 85歳の老人が言論界と球界の中心に君臨し続け、異物を排除し、発行部数1000 万部を誇る『読売新聞』が、第1読者をその老人に設定しているかのような紙面 づくりを繰り返す支配力を及ぼしている現状の異様さを、どのメディアも認識 しているのである。 しかし、書けない。いま書けば斬り返されるのは目にみえているからだ。だか らマスコミは、渡辺氏が落ち目になるのをじっと待っている。 弊誌No.680は清武問題に絡む『読売新聞』の報道姿勢と発想の異様さを指摘し た。(本紙11月23日号にて転載) 反面、問題をもっと一般化すれば、その問題所在の在り処がわかっていながら、 自らの保身のために掘り下げて報じようとしない大多数のメディアの体質こそ が異様であるといえる。 マスコミのこの体質は、大本営発表を垂れ流した戦争報道以来、変わっていな い恥部である。 マスコミには、ネットにあふれる「ナベツネ批判」が耳に痛かろう。 ある種の真実はネットにあり、既存メディアには一片の真実も掲載されていな いのが今の状況だ。 「清武の乱」は単に『読売新聞』の体質を問う企業の問題というにとどまらず、 日本のマスコミがやはり変わりきれない恥ずべき体質を今も引きずっている姿 を、さらけ出す現象でもある。 ◆会員制(法人・個人)経済情報誌『現代産業情報』の購読は、本紙がお取次 ぎします。お申し出いただけば、無料で見本誌をお送りいたします。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 週刊メールジャーナル 2011年12月14日 第613号(水曜日発行) ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 編集発行人:川崎 明 / 発行所:メールジャーナル社 〒130-0026 東京都墨田区両国2-1-4 第2西村ビル201 ホームhttp://www.mail-journal.com/ メールadmin@mail-journal.com 転載・再配布等には事前にメールジャーナル社に許可をお取り下さい。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ |